テレビ、映画などのショービジネス界は、華やかで美しい表層を一枚めくれば金・権力・視聴率争いなどドロ沼要素が満載で、その二面性はまさにエンタメ向き。今回はそんなテレビ業界を舞台にしたドラマ『ザ・モーニングショー』をピックアップします。
発端はセクハラスキャンダル、しかし…
『ザ・モーニングショー』は、ニューヨークにある大手ニュース専門テレビ局の看板番組「ザ・モーニングショー」が舞台。大物男性キャスター ミッチ・ケスラー(スティーヴ・カレル)のセクハラスキャンダルを発端に、現場スタッフから上層部まで多くの人の利害と思惑が交錯する中、長年コンビを組んできた女性キャスター アレックス・レヴィ(ジェニファー・アニストン)は、自分の全てを捧げてきたキャリアを失う危機に直面します。そこに地方局のトラブルメーカー、ブラッドリー・ジャクソン(リース・ウィザースプーン)が現れ、波紋が広がっていく…。
テレビ局のセクハラ問題といえば、2016年にFOXニュースで起きた実在の訴訟をベースにした映画『スキャンダル(原題:Bombshell)』が有名です。事実をなぞりながらニュースからは見えにくい角度で人物像を掘り下げたこの作品に対し、『ザ・モーニングショー』は架空のテレビ局におけるセクハラ問題を発端に、パワハラ・保身・家族・差別などさまざまな問題を絡めながら、組織の体質と不可分な個人のエゴを次々に明らかにしていきます。
途中、2017年のラスベガス銃乱射事件、2019年10月(と思われる)ロサンゼルス近郊の山火事の報道シーンを挟むことで、特に米国においてはより同時代的リアリティのあるものに映ったことと思われます(ちなみにこの作品の配信は2019年11月〜)。
大きなテーマと説得力ある人物像が生み出す厚み
ことの発端となったミッチのスキャンダルに関しては、終盤近くまで具体的に語られません。いろいろな疑問や疑念を抱いたまま物語に付き合っていると、権力と野心とエゴが絡む内実が出るわ出るわ。
コトが大きくなる度に保身や駆け引き、睨み合いの状況に注目させられてしまうのですが、それだけに、本当に大事なことは何だったのか、最後に突きつけられるショックも相当なもの。ハラスメントに対する問題提起と同時に、本質を見失いがちな報道やエンタメに対するメタ的な批判も読み取れます。
難しいテーマを扱いながら、一人ひとりの人物像をリアルに描き上げるエピソードの厚みも十二分。ドラマとしてのクオリティを評価され、米国で多数のアワードに輝きました。そして、2021年9月17日よりシーズン2の配信が開始されます。
シーズン1で消化不良感のあった人種差別問題は、昨年Black Lives Matter運動として米国を席巻しました。また、ニューヨークを長期のロックダウンに陥れた新型コロナウィルスの予兆も最終回にチラリとニュースとして報じられています。今のうちにシーズン1を視聴して、楽しみに待ちましょう。
この作品を視聴するには
- 配信サービス:Apple TV+
- 視聴方法:iPhone、iPad、Macなどの「Apple TV」アプリ、スマートテレビ、Amazon Fire TV、Chromecast with Google TV、PlayStation、Xbox、PCブラウザ(https://tv.apple.com/jp)
- 料金:月額600円(ファミリー共有可)
Apple TV+とは?
Appleが提供する、完全オリジナル作品だけのサブスクリプション型映像配信サービス。ドラマ、長編作品、ドキュメンタリー、アニメなど、毎月新作が提供されている。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞など映像作品に贈られる多くの賞にノミネートおよび受賞している。
(画像提供:Apple TV+)
からの記事と詳細 ( 見て見ぬふりで保たれてきた組織に切り込んだらヤバかった『ザ・モーニングショー』 - Apple TV+オリジナル作品レビュー - マイナビニュース )
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