日本を代表する音楽フェス「フジロックフェスティバル」が2年ぶりに開催された。国内で新型コロナの新規感染者が急増するさなかでの大規模イベントに、批判が渦巻く中での開催となった。医療現場の人々に対して「どうやって顔を向けたらいいのかわからない」と葛藤を口にしたミュージシャンもいた。音楽担当の記者が会場を3日間歩き、受け入れた地元の人たちの思いも聞いた。
コロナ禍で昨年は開催できなかったフジロックは、20~22日に新潟県湯沢町・苗場で開催された。会場に入ると、例年よりも人がずいぶんと少ない。3日間での来場者数は約3万5千人で、例年の4分の1程度となった。政府のガイドラインに沿って対策をおこない、チケット販売を例年の半分程度に絞ったことに加え、直前で参加をあきらめた人も多かった。来場者に事前に抗原検査キットを送付するなど、全員に検査を受けるよう呼びかけるという対策を講じた。
「検温と消毒をお願いします」
会場へと向かう越後湯沢駅からのシャトルバスに乗り込む前と、会場に入る前の2回検温が求められる。さらにスマートフォンのアプリや書類で健康状態を申告しないと会場には入れない。
会場内では、立ってライブに参加する人もいれば、ライブを聴きながら広々した芝生に寝転んでうとうとしたり、川遊びに興じたりする人もいる。そのあたりは、他のフェスよりも自由を享受できるフジロックの雰囲気が残っている。
例年との大きな違いは、その手にお酒がないことだ。最前列には熱狂を、後方には緩和と眠気をもたらすお酒は、フジロックの雰囲気を醸成する一助となっていた。直前に発表され、ファンの間で衝撃が走った「禁酒」ルールだが、少なくともおおっぴらに飲む人や、注意される人の姿は見かけなかった。
観客はマスク着用が義務づけられ、歓声を上げることも禁止となった。生理現象に近い感嘆のうめきこそあれ、「歓声」はほとんど聞こえなかった。
今回のフジロック開催を巡っては、ツイッターで「#フジロックの開催中止を求めます」というハッシュタグが広がりを見せるなど、主催者は大きな批判にさらされた。特に、感染者が多い首都圏からの来場者が多いことから、地域への感染の広がりなども懸念される。
後援には湯沢町、新潟県を始め、環境省や観光庁も加わった形での開催となっており、主催者は約1年間、これらの行政機関と相談しながら調整を進めてきた。「我々はモルモット。英国やドイツでは大規模コンサートの開催実験が行われているが、万全に対策を講じれば、今後もロックコンサートを続けていけるのかの壮大な実験だと思う」。会場近くの民宿の経営者はそう語る。
記事後半では、話題性たっぷりだったライブレポートをお伝えします。
フジロックは危険なのか。た…
からの記事と詳細 ( わからないままステージに…フジロック、葛藤の3日間 - 朝日新聞デジタル )
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