Wednesday, October 13, 2021

中日・山井が打たれ、叱られ、反発し、気づいた“意図の重要性” 谷繁氏とのワーストピッチ - 中日新聞

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引退セレモニーで胴上げされる山井=バンテリンドームナゴヤで

引退セレモニーで胴上げされる山井=バンテリンドームナゴヤで

◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇13日 中日1―3ヤクルト(バンテリンドームナゴヤ)

 通算336試合目にして、ラストゲーム。だが、山井に「ベストピッチ」を尋ねるのは愚問というものだ。惜別のテーマに選んだのは「ワーストピッチ」。それは2005年5月28日のソフトバンク戦(ヤフードーム)。導入初年度の交流戦だった。

 「もうボロカスに打たれました。谷繁(元信)さんに怒られて…」

 1回こそ3人で抑えたが、2回に1点、3回に2点、4回にも1点を失った。当時27歳。正捕手の叱責(しっせき)へのいら立ちが、恐らくは顔に出た。すると5回、谷繁から思いもしない指示が出た。

 「ノーサインでいくぞ。おまえが投げたい球を投げてこい」。通常は捕手が配球する。それを投手に委ねるどころか、伝えなくていいと言う。

 「捕れるんか?って思ったら、谷繁さんは平気で捕りました」。中軸を三者凡退。捕手主導に戻した6回は5失点でとどめを刺されたが、山井は深く考えた。「なぜ5回だけ抑えられたんだろう」。他のイニングと違うことに気が付いた。

 「同じように投げていても、意図を込めていたのが5回で、それ以外はただ谷繁さんのサイン通りに投げていただけなんです。なぜスライダーなのか。ボール球なのかストライクなのか。打たれた悔しさの中で、意図の重要性を知った。それがあの試合でした」

 指(サイン)で伝わるのは球種だけ。その奥にある捕手の意図を、いい投手は必ず酌み取る。打たれ、叱られ、反発し、気付かされたあの試合。もちろん谷繁さんもよく覚えていた。

 「山井に限らずですが、いつかは僕がいなくなる。その日が来てもちゃんと投げられる投手になってほしかった。なんで捕れたかって? そりゃ予想つきますもん」

 ワーストピッチから得た教訓。ありったけの意図を込め、見納めの5球を投げきった。

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