Friday, October 21, 2022

薄すぎず厚すぎず 新潟競馬場・こだわりのたれカツ丼 - 日本経済新聞

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皆さんは、「一目ぼれ」をしたことはあるでしょうか。

2021年夏。私は、新潟競馬場でいただいたある食べ物に「一目ぼれ」ならぬ「ひと味ぼれ」をしました。口の中に入れた瞬間、あまりのおいしさに目を見開いたまま数秒停止してしまうくらい衝撃的な出合いでした。

私が「ひと味ぼれ」した運命の相手とは……。正体は、競馬場で営業する料亭「一〆」(いちしめ)さんの「たれカツ丼」です。

10月15日、秋の新潟競馬が開幕しました。「食欲の秋」ということで、今回は一〆さんのたれカツ丼の秘密について、同社代表取締役、中込健太郎さんにお話を伺いました。

「料亭一〆」本店は新潟市中央区にあり、うなぎ料理が中心ですが、競馬場に出店している「料亭一〆」では、かつ丼やカツカレー、カレーうどんなどを中心にランチ営業を行っています。場内の「一〆」は、2001年に競馬場がリニューアルオープンした際、新設されたメインスタンドのニルス棟にオープンしました。

ランチメニューで筆者が特に感動したのが、新潟名物「たれカツ丼」。あおさのお味噌汁、お漬物がセットになったランチメニューとなっています。カツのお肉がとにかく軟らかくてふわふわでサクサク。カツが絶妙な甘辛さの「たれ」につかっているのですが、たれと衣とお肉のハーモニーがとにかく最高なのです。

たれカツ丼に欠かせないのが、だしの効いたあおさのお味噌汁。深いだしの風味と、まるで漁港にいるかのような磯の香りが鼻を通り抜けていくお味噌汁には、「刺し身で使用された魚のアラ」がだしに使われているということです。たれカツとホカホカの白いご飯を数口食べた後にお味噌汁。また数口ほおばって、お味噌汁をすする。お味噌汁がたれカツを食べる際のアクセントの役割を果たしてくれていて、一〆のたれカツ丼には欠かせないものと感じられます。

早く、かつおいしく 試行の末の厚さ9~11ミリ

筋っぽさが一切なく、軟らかさが魅力のたれカツのお肉は、「豚ヒレ肉」を肉専門店の問屋さんから仕入れています。病みつきになりそうな甘辛のたれは、昆布とカツオを使い、「新潟らしい甘辛の味付けにしている」とのことでした。

素材にもたれにもこだわるたれカツ丼。中込さんは、他と違う一〆のたれカツ丼のポイントを次のように教えてくださいました。「カツが素早く揚がるように厚さ(薄さ)にこだわっております。薄すぎても厚すぎてもダメです」

「薄すぎても厚すぎてもダメ」という点は、競馬場でたれカツ丼を供給する中で、試行錯誤を繰り返した末にたどり着いたこだわりでした。競馬場での営業が本店と最も異なる部分は、料理を提供するまでの「スピード」といいます。来店者の中には場内を忙しく動き回る人も多く、料理を出すスピードが要求される競馬場で、「おいしく」かつ「早く」たれカツ丼を提供するためには、「薄すぎても厚すぎてもダメ」なのです。

薄ければ薄いほど、カツは「早く」揚がりますが、「薄っぺらいカツは、それを名物にしたら話は別ですが、万人受けはしません」と中込さん。逆に、カツが厚いと、揚がるまでの時間がかかります。「一時期、カツを分厚くしたのですが、料理を提供する時間がかなりかかってしまった」と中込さんは振り返ります。厚さとスピードが折り合う着地点を求めて試行錯誤を重ねた末、たどり着いた厚さが「9~11ミリ」でした。

「スピード」と「おいしさ」のちょうど良いバランスの先にあった答えがこの厚さでした。「薄すぎても厚すぎてもダメ」という一〆のたれカツ丼のこだわりの正体の一つだったのです。

今秋は3倍のメガ盛りも登場

競馬場店の一番人気メニューはもちろん、「たれかつ丼」。今秋の開催では、この人気メニューが、競馬場の展開する「メガ盛りキャンペーン」に登場し、通常の3倍の量で提供されます。キャンペーンは、秋の開催中に場内で行われるイベントで、「食欲の秋ということで、おなかいっぱい食べてほしいという」との思いで企画されました。

場内で営業する各店舗が、1日20食限定で、対象商品を通常時の3倍の「メガ盛り」で提供し、価格は通常の3倍より500円安く設定されています。挑戦者には、ニルススタンド内の「Twodays」で使えるソフトドリンク無料券も贈呈され、 Twitterで挑戦したことをつぶやくと、さらに1サイズアップするということです。

いつもの3倍の量のたれカツ丼を堪能できるこの秋の開催。最後に中込さんにファンの方々へのメッセージをいただきました。「競馬場店でお待ちしております。たれカツ丼も人気がありますが、馬券が当たったら、当店自慢のうな重もぜひお召し上がりになってください」

競馬場グルメならではの配慮が生んだこだわりの一品。残念ながら、私は今秋の開催に行く予定はないのですが、足を運ぶ予定のある方は、一度お試しになってはいかがでしょうか。

(ラジオNIKKEIアナウンサー 藤原菜々花)

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