* * * ――「核燃サイクル」見直しを訴えた河野太郎氏は、総裁選に敗れました。 今度の総裁選の結果を見て、資源エネルギー庁や電力業界は、ほっとひと安心したと思います。しかし現政権が短命で終わると、あらためて河野政権が登場する可能性があります。河野さんはまったく妥協していない。本格政権になれば、「原子力ムラ」にとって最悪シナリオになるんじゃないか。 ――逆に、甘利明氏が自民党幹事長になるなど、新たな政府与党の体制には原発推進派も目立ちます。10月に閣議決定が予定される「第6次エネルギー基本計画」で、「原発新増設、リプレース(建て替え)」を求めてくる可能性もあるのでは? まったくありません。「安倍一強」時代でさえできなかったことが、新政権にできるわけがない。まして総選挙を直後に控えています。経済界には要望が強いが、3.11以来国民のなかに原発への忌避感が強いことは、政府与党も十分感じ取っています。あの原発事故以来、自民党も旧民主党系野党も原発を主要な論点から外しています。原発問題は、票を減らすことはあっても、増やすことはないからです。今後も主要な論点から外され続けるでしょう。野党も、同じことです。 ■アンモニア・水素火力が引退勧告 ――河野さんが首相になれば、「原発の葬式」がいよいよ始まるはずだった? いや、実は「2050年には原発はよくて10%、場合によってはなくていい電源になる」。そうした流れが、今度の首相交代劇の前に、ほぼ固まった、と私は見ています。
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