第48回社会人野球日本選手権大会(18日・京セラドーム大阪)
○Honda熊本3―0西濃運輸●
打たれても、四球を出しても、大黒柱はどっしりと構えて崩れない。Honda熊本の片山雄貴は8安打を許し、5四球を与えながらも完封勝利。人並み外れた精神力がなせる業だろう。
最大のピンチで真価を発揮した。3―0の九回、1死から2四球と安打で満塁とされた。「同点まではOK。でも、完封を狙っていた」。そう考えていた片山に、捕手の丸山竜治が駆け寄って言った。「ここまで来たらゼロにこだわっていこう」。バッテリーの思いは一つだった。
ボルテージが上がる相手の応援をはねのけるように、強気の攻めで立ち向かう。西濃運輸の3番・野崎大地には、内角の直球を見せつつ5球目のフォークで空振り三振に仕留め、ガッツポーズ。4番・小中健蔵もフォークで一ゴロに打ち取ると、強く拳を握って勝利をかみ締めた。
西濃運輸とは今夏の都市対抗野球大会1回戦でも顔を合わせた。先発して8回を被安打6、2失点に抑えて10―2で勝利したが、相手の対策もあり、この日は三回を除いて毎回走者を背負った。
「いつものような投球をさせてもらえない中でも、勝ちにつながる投球をしないといけない」。2022年度の最多勝利投手賞に輝いた経験豊富な右腕には、相手打者へ向かっていく気持ちは切らさず、それでいて冷静に最善策を考えられる余裕があった。
今大会はここまで2試合に抑えで登板。守護神も先発もこなす30歳右腕は、強心臓も武器の一つだ。「いつもピンチから(マウンドに)行くことが多い。常にピンチをしのいでというのが自分の持ち味」。大一番でも動じなかった。
その姿に、西濃運輸は脱帽するしかなかった。5打数無安打に抑えられた野崎は「要所で投げ込んでくる球が社会人トップレベル」、佐伯尚治監督は「最後まで崩れなかった片山くんが、ただただすごい」とたたえた。
強打自慢のHonda熊本だが、準々決勝は5年目左腕の横川楓薫が今大会初の完封勝利。片山も後輩の力投に刺激を受けるように、スコアボードに0を刻み続けた。これまで日本選手権は1度、都市対抗は2度決勝に進んだが、いずれも涙をのんだ。悲願の社会人野球2大大会初優勝へ。投打がかみ合ったチームに死角はない。【下河辺果歩】
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