Sunday, March 29, 2020

極上のパウダースノーがある故郷で、夏冬マルチワークライフを くらしごと - kurashigoto.hokkaido.jp

極上のパウダースノーがある故郷で、夏冬マルチワークライフを

冬の最も寒い日にはマイナス20度を超える道北の名寄市。山はふわっふわのパウダースノーで覆われ、国内・国外から数多くのスキーヤーやスノーボーダーが訪れる、知る人ぞ知るウインタースポーツのメッカです。
名寄で生まれ育ち、現在もここを拠点にプロスノーボーダーとして活躍する土井隼人さん。夏は父が経営するバイク販売店・㈱土井二輪商会で整備の仕事をし、冬はスノーボードというマルチワークスタイルでの生活を送っています。

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スノーボードを始め、たちまち夢中に

土井さんがスノーボードを始めたのは、10歳のころ。当時はスノーボードブームが始まる少し前でしたが、父の昭光さんが先見の明を発揮し、店でスノーボード用品の販売を始めたのです。それまでは地元の他の子どもと同じく、土井さんもスキーをしていましたが、父と一緒にスノーボードを始め、たちまち夢中になったといいます。

「ボードで初めて滑った時の浮遊感が衝撃的で。もう楽しくて、当時近くにあった菊山スキー場という小さなスキー場に、毎日のように滑りに行くようになりました。その楽しさが、今でも続いている感じですね」

スノーボードを始めたころから、「プロになりたい」という思いを持っていた土井さん。中学生の時からは、大会にも出始め、競技者としての人生がスタートしました。旭川や札幌に遠征して練習や合宿に参加するように。高校に進学してからは、全日本のメンバーにも選ばれ、スポンサーも付いて、選手としてのプレッシャーを感じるハードな日々が続きます。北海道東海大学札幌校にも、スポーツ推薦で進学。ポーランドで行われたユニバーシアード競技大会で優勝するなど、輝かしい成績を残してきました。

doi_3.JPG㈱土井二輪商会。ここで昭光さんがスノーボード用品の販売を始めたのが全てのきっかけでした。

第一線の競技者から、バックカントリーに転向

そんな中、土井さんが出会ったのが、バックカントリーでした。整備されたコースではなく、手付かずの自然の山を滑ると、スノーボードを始めたころに地元で滑っていた感覚を思い出させました。

「大好きなスノーボードを続けていける方法は、これなのではないかと思いました。競技者として第一線で戦っていれば、いつか挫折する時が来る。求められるものに応えていくのではなく、楽しんで続けていきたいと思ったんです。柔らかい自然のパウダースノーは、体にも優しいですしね」

doi_5.JPGこちらが土井隼人さんです。

当時のスポンサー企業とも話し合いをした結果、競技からバックカントリーに転向してもスポンサーを続けてもらえることに。スノーボーダーとしての第二のターンが始まりました。そして、大学卒業後は1年は札幌に留まったものの、名寄に戻ることに。

「生まれ育った場所で、家族もいる。無理なくスノーボードも続けられる環境でもあり、一番良い場所だと思いました」

そして、夏は父の会社で働き、冬はスノーボードをするというライフスタイルを送っていくことになったのです。スノーボードの競技も全面的に応援してくれていた両親は、この時も土井さんが戻ってくることを歓迎し、「やると決めたならしっかりやりなさい」と応援してくれたそうです。

doi_6.JPG父の昭光さん。子どもの頃からずっと応援してくれる存在だといいます。

バイクも、子どものころから親しんだ原点

土井さんの夏の職場である土井二輪商会は、父の昭光さんが創業して44年目。お店を訪ねてみると、バイク好きの取材カメラマンが目を輝かせるような、かっこいいバイクが並んでいます。土井さん自身はバイクの整備は入社してから覚えましたが、子どものころからお店に出入りし、父の仕事の様子を側で見ていたので、「要領はわかっていた」といいます。

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実は、バイク歴はスノーボードよりも長い土井さん。小学2・3年生のころには、子どものバイクレースに出場していたとか。昭光さんもまた、現役で活躍するバイクレーサーです。

お店には地元の顔なじみのお客さんが来てくれるほか、ツーリングに来た時に修理を頼める最北端の店ということで、道外からのライダーもよく訪れます。本州のスノーボード愛好者が夏にバイクではるばる土井さんを訪ねて来てくれることもあるそう。そんな交流も楽しいひと時です。

doi_7.JPG店内には様々なバイクがずらりと並んでいます。

冬は、地元そして海外でスノーボードを満喫

スノーボードのシーズンになると、スポンサーやカメラマンからの依頼による映像作品の撮影や、雑誌のグラビア撮影、海外のスノーボーダーのアテンドなどの仕事が入ります。スポンサー企業はメーカーなどで、スノーボードの楽しさを広め、普及させる役割も期待されています。撮影やプライベートも含め、海外の山に滑りに行くことも。

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「アメリカのコロラドやアラスカの山、インドにも行きました。斜面が綺麗で安全に滑り降りてこられる山であることが、僕が好きな場所の条件です。地元・名寄の山も、日本一のパウダーで最高の山ですよ」

名寄にもバックカントリーに適したお気に入りの場所があり、仕事の予定がない日には足しげく通っています。

「誰もいない場所で、自然を感じながら滑るのがバックカントリーの醍醐味です。すべて自分で決めることができ、すべて自己責任。そこが良いですね」

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季節の流れに合わせる、無理をしない生き方

コンディションを整えるための体のケアも、ストイックなアスリートのイメージとはかけ離れ、あくまで体に優しいことが基本。食べ物は、20代のころから動物性のものをとらず、野菜中心の生活。毎朝、瞑想とヨガを行い、調子を整えます。取材中、土井さんのお話によく出てくる「無理をしない」というキーワード。スノーボーダーである以前に、人として自然体でいることを大切にする姿勢に気づかされます。

4月末、雪が解けて大型連休に入るころに、バイクのシーズンが始まると共に、スノーボードのシーズンが幕を閉じます。そこから土井さんの生活もシフトチェンジ。夏と冬のマルチワークスタイルも、「四季に合わせて無理なく生活する、自然な流れ」と土井さん。

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2012年には地元出身の女性と結婚、二人の女の子にも恵まれました。土井さんが店でバイクの整備をしていると、自身の幼いころと同じように、娘たちが遊びに来て作業の様子を見ているといいます。冬は地元を離れることが多い分、夏の休日は家族と過ごす時間を大切に。人がいない海や山でキャンプをしたり、山登りをして温泉に泊まるなど、四季を感じながら北海道の自然の中で過ごしています。このようなマルチワークライフを続けてこられたのも、家族の支えがあってこそと土井さんはいいます。

doi_14.jpg「家族での団らんの時間はとても大切な時間」と土井さん。

「自分がいないことも多く不在にしていることから、妻は大変なこともあると思いますし、妻の両親や僕の両親が子どもを見てくれたりと、みんなの理解と支えがあってこそ成り立っていると思います。このベースを作るには時間はかかりましたが、自分が好きなことをやり続けるにはどうすればいいか、と考え続けてここに辿り着きました。家族やスポンサーへの感謝と、謙虚な気持ちをいつも持ち続けています」

自然の流れに沿って生きるライフスタイルは、周囲の理解と協力、そして土井さん自身の「好きなことを続けたい」という強い思いによって培われたものでした。

doi_13.JPG弟さん(写真右)も交え、ご家族3人で記念にパシャリ!

土井隼人さん

◎Support:Gentemstick/Volcom/Hestragloves/Oakley/Plusoneworks/Smartwoolsocks/Mizulife/Karakoram/BlackDiamond/T-tune/BPM/PCS/㈱土井二輪商会
◎Facebook:土井隼人
◎Instagram:@sharkboysharkboy

◆㈱土井二輪商会の連絡先
住所:北海道名寄市西9条南4丁目13番地
電話:01654-3-6097

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March 30, 2020 at 07:00AM
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