Saturday, March 21, 2020

私と新聞 自国文化理解し国際人たれ 元国連事務次長・明石康さん(産経新聞) - Yahoo!ニュース

 長年国際連合で活躍した明石康さん(89)は現在グローバル人材育成に尽力しています。明石さんは「自国文化に通じ広い視野と専門性を持つことが国際人の条件。新聞や読書などに親しみ、積極的に海外にでて研鑽(けんさん)を積んでほしい」と呼びかけます。

 ■記者と語った日々

 平和や環境、貧困問題など地球規模の課題について話し合い、解決方法を探る場が国際連合(国連)です。最近、皆さんが新聞などメディアでよく見聞きする「持続可能な開発目標」(SDGs)は2015年、人類が「よりよい世界」の実現のために目指すべきさまざまなテーマについて国連で議論され採択されたものです。

 こうした国連の活動は新聞などメディアを通じ世界の人々に理解し協力してもらうことで成り立ちます。私は日本が国連に加盟した翌年の1957年、国連職員となって以来40年間、いつもメディアの存在を意識し活動してきました。

 92年から1年9カ月間、内戦に明け暮れたカンボジアが民主国家として再出発することを支援する国連の現地代表を務めました。その際、多くのボランティアや初めて海外に自衛隊を派遣した日本の人々に国連の活動を正しく理解してもらうために、日本の新聞記者たちと毎日のように議論したことを30年近くたった今でも思い出します。

 ■語学上達の秘訣

 私はカンボジア以降、旧ユーゴスラビアやスリランカの紛争調停にも関わりました。こうした経験を話すと、国際交渉の最前線で、訓練された流暢(りゅうちょう)な英語を駆使していたのでは、と思われそうですが、特別に英語を勉強した記憶はありません。大学に進学するために秋田から上京して初めて外国人に接したほどです。

 大学で文化人類学に興味をもち、米国人教師から英語で授業を受けたのが大学2年でしたが、聞き取りも会話もほぼできませんでした。しかし、語学力への劣等感よりも私の知的好奇心が上回り、授業や同年配の外国人との交流を重ねていくうちに英語で話す力がつくようになりました。英語での議論の能力向上に役立ったのは英字新聞の社説でした。社説をいくつか丸暗記したら、英語の対話の仕方がほぼ分かります。そのパターンを自分なりに使いこなしてきました。

 現在日本では、グローバルに活躍する人材育成のため語学力を小学校から身に付けさせようとしていますが、日本の若者に必要なのは語学力ではなく、伝えたい内容への旺盛な好奇心だと思います。

 私もそうしましたが、話題が豊富な新聞や読書に親しみ、いろいろな人に出会い、自分だったら将来どの分野で活躍できるだろうかと探すことです。それさえ見つかれば、語学力はあとから自然についてきた気がします。

 私が知る世界で活躍した人は英語は我流でも旺盛な好奇心と専門知識を武器に堂々と他国の人々とわたりあっていましたよ。

 ■異文化への寛容

 これからますますグローバル化する社会では、どの分野で活躍するにしても異なる文化を背景とする人たちと交流せざるを得ません。文化の違いから衝突することもありますが、それを乗り越えるのは、語学力ではなく、新聞などで学んだり寺社など伝統的な場所を訪れるなど自分たちの国の文化への理解を深めることで身に付くアイデンティティー(日本人としての誇り)と、異なる文化を尊重する寛容の精神です。

 こうした意識は異なる文化の人々と接することで生まれますが、日本に定住する外国人は他国に比べ多くないので、日本の若者が積極的に海外にでて話し合う前向きの姿勢が必要です。

 一方で、今述べたことと矛盾するようですが、調和を重んじる精神をもつ日本人は多文化なグローバル社会の発展に進んで寄与することが求められます。

 また、勤勉さと武士道に通じる克己(こっき)心は日本人独特の美徳です。私は国際交渉の最前線で幾多の困難や身の危険を感じることもありましたが、乗り越えてこられたのはこれらの日本人の態度のおかげだと信じています。ですから、日本の若者は自信をもって世界に飛び出し、存分に能力を発揮してほしいと思います。

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