故人を偲び、最期の別れを伝える大切なひとときである「葬儀」。しかし、ある人の葬儀がいま物議を醸している。中曽根康弘元総理大臣だ。 【映像】中曽根元総理の葬儀費“1億円”が物議 去年11月に亡くなった中曽根元総理の合同葬は、内閣と自民党が主催で今年の3月に数千人が参加して執り行われるはずだった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で延期となり、10月17日に実施されることになったが、問題はその費用。約9600万円が今年度の予備費から計上されることが、25日の閣議で決定した。自分たちが収めた税金から巨額の葬儀費用が捻出されることに、Twitterでは「#中曽根の葬式に税金を使うな」が一時トレンド入り。インターネット上では批判の声が殺到している。
「いくら元内閣総理大臣だといっても、9643万円もの税金を投入して葬式なんておかしいよ。コロナや災害で生活を失う人が大勢いる中で」 「税金は自民党に差し上げたカネではない。国に預けた、国民の金である。予備費の使いみちが間違っている」 「ていうか中曽根氏の葬儀、zoomじゃだめなの?」 この金額について『ABEMA ヒルズ』では、1937年に創業した老舗の葬祭社「西田葬儀社」に取材した。西田佑規専務取締役は「なぜそんなに高くなるかというと、大きな会場をお取りしている場合、それに携わる日にちも1日ではダメ。次の日も抑えておかないといけないので、それだけ大きな金額になると思う」と話す。 さらに、撤収するための時間も相当必要になるほか、各国の要人などが来る場合は控室の確保や警備なども手配しなければいけないため、費用はかさむという。「やはり会場費も非常に大きいし、式場の大きさによった祭壇や人件費の問題、こういったところで大きくかかる印象はある。ホテルでお借りして中小企業で社葬を行ったとしても、大体1000万円近くかかることはざらにある」。
では、党内ではどんな意見が出ているのか。ある自民党若手議員は、合同葬の持つ意味について「国と社会の発展のため活躍した人に敬意をこめて行うもの」であり、「世界でも知名度のある人の合同葬なので対外発信につながり、海外向けという側面もある」と話す。その一方で、「国民にとっては不要なものじゃないかという意見もあるだろうし、国民の真意や感情を照らし合わせ、合同葬の在り方を議論するべきなのかもしれない」と、今の時代にやるべきことかを考える必要があるかもしれないとも話していた。 そして、加藤官房長官も28日午前の記者会見で質問に応じ、「中曽根元総理の功績、合同葬儀の先例などを総合的に勘案して執り行うもの。経費の金額は約9600万円ということで、延期前に比べて少し増加しているが、葬儀会場の借り上げ経費、設営経費に加えて、葬儀は簡素にしつつコロナ対策に万全を期している。そういう観点から積み上げられている必要最小限の経費」と答えた。
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