高知・安芸の秋季キャンプで若虎を指導中の阪神久保田智之1軍投手コーチ(41)が日刊スポーツのインタビューに応じた。今季は2軍投手コーチを務めたが、岡田彰布監督(64)の就任にあわせて昇格。伝説トリオ「JFK」の一角を担い、07年にプロ野球記録の90試合登板を果たすなど実績を残した。タフネス右腕が、恩師の岡田監督について語った。(聞き手=前山慎治)
◇ ◇ ◇
-選手からコーチに立場が変わり、岡田監督の印象は変わったか
「僕自身は立場が違うということで、まだそこまで監督を分かっていない部分もある。そこらへんはちょっと…。僕もコーチになって3年目になるところなので、これから勉強しつつ、監督のことも知りつつ、やっていけたらと思います」
-就任に際して監督からの言葉はあったか
「なるにあたっては特にないです。キャンプに入る前に、今やっている(ブルペン投球で)真っすぐだけとか、高めだけとか、強いボールを投げる、毎日ブルペンに入る、というのは言われました」
-岡田監督と久保田さんでいうと「めちゃくちゃやったれ」のシーン(※1)が印象的。言葉の力をどう考えている
「言葉の力って大事だと思う。僕は基本的に自分を信じて投げて欲しい。結果を出さないとなかなか自信は持てないと思うんですけど、今やっていることをある程度認めてあげないと、全部否定してしまったらドツボにハマってしまう選手もいると思うので、いいところを伸ばすじゃないですけど、言葉で自信をつけさせるというか、良くなってきてるとか、そのボール行ったら大丈夫って言葉はちょこちょこ言ってますね」
-ブルペンから送り出す時に心がけたいこと
普通に「頑張ってこいよ」くらいですよ。普通に送り出すだけです。
-1軍コーチはまた違った感じか
「違った感じはあるんですけど、メンバーは結局一緒にやってきたメンバーなので。違うといえば違うですけど、一緒と言えば一緒という感じ」
-今シーズンの投手成績は良かったが、改善したいところは
「より良くしたいというよりは、チャンスを与えたいと思います。より多くの選手に1軍で投げてもらう。僕が決めることではないですけど、しっかり下で結果を残しているのであれば、しっかり上で登板させてあげたいなって思うような選手になってほしいですし、それぐらいの能力を持っている選手が多いので、より1軍で見たいなと思いますね」
-練習で投手に遠投をやらせている。現役の頃は遠投重要視していた
「遠投は重要とは思っています。だからといって強制はしないけど、体を大きく使ったりとかリリースとかも遠くに投げることで分かるので、やってみたらいいんじゃないのとは話していました」
-遠投は純回転で投げるのが大事
「遠投したらボールの回転が悪かったら曲がりますので、曲がらないようまっすぐ行くよう投げるとか、遠くに投げるのは全身を使わないと遠くに投げられないので、そういうところですかね」
※1「めちゃくちゃやったれ」…05年9月7日の中日戦で、当時抑えの久保田が登板時に本塁での判定を巡って岡田監督が抗議。その後、マウンド上の久保田に向けて、指揮官が放った激励の言葉。
◆久保田智之(くぼた・ともゆき)1981年(昭56)1月30日生まれ、埼玉県出身。滑川(現滑川総合)3年夏の甲子園では、捕手で先発した後に救援登板も果たした。常磐大を経て02年ドラフト5巡目で阪神入団。優勝した05年には、ジェフ・ウィリアムス、藤川球児とともに救援ユニット「JFK」を形成。27セーブを挙げた。07年の年間90試合登板はプロ野球最多。07、08年には最優秀中継ぎ投手。14年引退。通算444試合、41勝34敗47セーブ117ホールド、防御率3・16。現役時代は181センチ、95キロ。右投げ右打ち。引退後は阪神で打撃投手やプロスカウト、2軍投手コーチを歴任した。
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