医薬・日用品大手の米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、需要が減ったためとして、米国とカナダでの「タルク(滑石)」を原料に含むベビーパウダーの販売を停止すると発表した。
米国内では、対象のベビーパウダーの長年の使用が、がんなどの健康被害を引き起こしたと主張して訴訟が相次いでいる。一方、米J&Jは試験・調査などの結果、安全性には「確固たる自信がある」としている。今回の販売停止は、日本への影響はあるのか。国内でベビーパウダーを販売しているJ&Jの日本法人に話を聞いた。
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米国でのベビーパウダー関連ニュースに日本でも関心が寄せられた。
理由について「消費者習慣の変化などによる北米での需要減」と説明
米J&Jは2020年5月19日(現地時間)、米国とカナダにおけるタルクを主原料にするベビーパウダーの販売について、在庫がなくなり次第、販売を停止すると発表した。プレスリリースによると、理由は「主に消費者習慣の変化と、安全性に関する誤った情報(など)により北米での需要が減ったため」と説明。新型コロナウイルス感染拡大に伴う製造・物流状況の変化にも言及している。コーンスターチを主原料とするベビーパウダーの北米販売は続ける。タルクは鉱物の一種(を粉末にしたもの)で、コーンスターチはトウモロコシからつくるデンプンだ。
同社のタルク原料ベビーパウダーについては近年になって、製品の長年の使用ががんなどの健康被害を引き起こしたとして米国内で訴訟が相次いでいる。さらに2019年10月にも動きがあった。米食品医薬品局(FDA)が、発がん物質のアスベスト(石綿)がごく微量検出されたと同社に通知し、米J&Jは「用心のため」自主回収を公表。その約10日後、社の調査の一環として第三者機関がサンプル試験した結果、アスベストは発見されなかったと発表していた。
今回の販売停止発表のなかでも、タルク主原料ベビーパウダーの安全性については、同社は「確固たる自信がある」(steadfastly confident)としている。
米国・カナダでの販売停止のニュースは日本でも、「米J&J、北米でベビーパウダー販売中止 発がん性指摘」(日本経済新聞、20日ウェブ版)などと報じられ、ツイッターなどでも関心を集めていた。
米J&Jの日本法人「ジョンソン・エンド・ジョンソン」(3カンパニー制)のひとつ、「ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマー カンパニー」は、国内で「ジョンソン ベビーパウダー」2種類(プラスチック容器<微香性>、シェーカータイプ<同>)を販売している。公式サイトをみると、成分欄には「タルク、香料」とある。この商品について、J-CASTニュース編集部が同コンシューマー カンパニーにメールを通じて取材した。
「安全性に確固たる自信」
5月26日に届いた回答によると、同商品2種は輸入品。うち発売が早い方(プラスチック容器)は1958年から国内で販売されている。年間売上高や市場シェアの情報は開示していない。北米での措置を受けた今後の日本国内の対応については、
「今回の(販売停止)決定は、北米での製品に対する消費者様の需要の減少に対応するものです。日本では、消費者様はタルクベースのジョンソンベビーパウダーを、ご家族の日々のお手入れに使用されており、製品の需要が非常に大きいため販売を継続します」
と説明し、販売を続けることを明かした。また、「北米での販売停止へ」ニュースを読んだ日本の消費者へのメッセージを尋ねたところ、
「ジョンソン&ジョンソンは、タルクベースのジョンソンベビーパウダーの安全性に確固たる自信をもっており、また、世界中の医療専門家による何十年もの科学的研究により製品の安全性が確認されております。ジョンソン&ジョンソンは、今後もジョンソンベビーブランドの発展と向上に努めて参ります」
と訴えた。
厚労省、1987年秋の通達以降は「(ベビーパウダーへの)アスベスト混入」報告なし
今回の米J&J関連ニュースとは関係なく、従来からベビーパウダーとアスベストに関する不安については、消費者の間に一定程度あるようで、東京都や他社のサイトの「Q&A」に登場している(5月27日確認)。
東京都環境局サイトの「アスベストQ&A」(18年2月9日更新)には、「ベビーパウダーにアスベストが使用されていると聞いたが、大丈夫ですか?」との質問項目がある。回答欄では、過去(1980年代)のアスベスト検出・混入事例に触れつつ、「現在売られているベビーパウダーには、アスベストは使用されていません」としている。
また、国内でベビーパウダーを扱う、(J&J日本法人とは別の)ある社のサイトにも、タルクやアスベストのキーワードを使って安全性について説明するページがある。1980年代の事例に触れつつ、当時も自社製品にはアスベストが検出されておらず、現在も検出されないことを確認している、と安心して利用できると訴えている。
都サイトや厚生労働省資料によると1986~7年、ベビーパウダーなどの原料に使われていたタルクに不純物としてアスベストが混入した事例が報じられた。旧労働省の産業医学総合研究所が市販ベビーパウダーを調査したところ、一部製品からアスベストが検出され、旧厚生省が87年11月、アスベストの混入が認められないことが確認された原料を使うよう定めた「ベビーパウダーの品質確保について」の通達を出した。2006年にはベビーパウダー以外にも対象を広げた。
厚労省に確認したところ、20年5月25日午前の回答で、1986~7年の事案以降は、ベビーパウダーの原料へのアスベスト混入の国内事例は報告されていない、とのことだった。
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May 28, 2020 at 05:18AM
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「タルク」使うベビーパウダー、国内では販売継続 J&J日本法人「安全性に確固たる自信」 - J-CASTニュース
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