Monday, October 5, 2020

社説 障害年金の判定 客観性が保たれているか - 信濃毎日新聞

 障害年金制度への不信感を広げかねない。障害の種別や部位の違いで、支給を認める人の割合や金額を決める等級の判定結果に大きな差があることが明らかになった。

 年金が受け取りやすい障害と、受け取りにくい障害があってはならない。なぜ差が生じるのか、審査や判定に問題はないか。検証が欠かせない。

 厚生労働省が、障害年金の申請や支給・不支給の決定、等級の判定の状況を2019年度統計として初めてまとめ、公表した。

 障害年金は、病気やけがで一定の障害があれば、現役世代でも受け取れる。障害の原因になった傷病で初めて診察を受けた日の加入制度によって、国民年金だと障害基礎年金、厚生年金だと障害厚生年金が支払われる。

 新規申請件数の6割を占める障害基礎年金でみると、身体や視覚、聴覚の障害で不支給になったのは10%台だった。一方、循環器疾患は62・1%、呼吸器疾患は48・3%に上った。

 1級(年額約98万円)と2級(同約78万円)がある等級判定でも差は歴然としている。

 支給を認められても2級に判定される割合は、精神・知的障害で86%を占め、内臓疾患で91%を超える。身体や視覚、聴覚の障害は1級と2級でほぼ半々だ。

 身体などの障害は検査数値が主な判定基準になる。内臓疾患や精神・知的障害は生活能力といった基準で判定される。日本年金機構が委託する医師が審査する。

 生活能力は明確な数値で表せない。医師の主観が入り込み、身体などの障害よりも厳しい判定になっている懸念がある。

 客観性を担保するためには、単独の医師ではなく、専門医を含む複数の医師や福祉の専門家を交えて審査すべきだろう。

 判定の状況がこれまで示されてこなかった点も問題がある。どんな医師がどう審査しているかや判断の理由についても、可能な限り開示が必要だ。

 障害年金を巡っては、支給・不支給の判定結果に都道府県間で大きな差が生じたり、診断が確定するまで長期間受け取れない事例が起きたりした。厚労省はその都度改善策を講じたが、今回は「判定には問題ない」との姿勢だ。

 障害者団体は是正を求めている。障害者の生活を支える制度としての運用がなされているとは思えないからだ。厚労省は、真摯(しんし)に受け止めて検証に取り組み、信頼を取り戻す必要がある。

(10月6日)

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