科学技術振興機構(JST)理事長の橋本和仁氏(67)は科学者の立場から、日本の科学政策の実行役を担う立場にある。大規模組織のトップであっても「家族を引っ張るように率いる」とし、親しみやすさを醸成しつつ日本の科学技術力の再興に力を注ぐ。
――研究室から研究機関まで様々な場でリーダーを務めました。どのようにしてリーダー像を確立していったのですか。
「最初にリーダーになったのは、東京大学の教授に就き自分の研究室を持った41歳のときです。まずは最も尊敬している学生時代の恩師で、文化勲章も受章された故・長倉三郎先生を思い浮かべました」
「とても厳しい人で、週1回のセミナーの発表で少しでも手を抜くと雷が落ちます。2020年4月に99歳でお亡くなりになり、今年、新型コロナの影響で延期していたしのぶ会を開き、約100人が集まりました。集まった弟子の皆さんと『怖かったねえ』と当時を懐かしみました」
「私も含めて皆が恐れていましたが、同時にとても尊敬されていました。あんなに怖いのになぜ尊敬されていたのだろうか。振り返ると先生は学問に熱心で、個人的な好き嫌いなど私情を一切挟みませんでした。学問を中心とした軸がぶれず、自分にも厳しく武士のような方でした」
「研究室を持って長倉先生と同じ立場になり、まねをしようとしても、私は恩師のようなリーダーにはなれないと思いました。あんな怖さを出せないし、あそこまで自分を律せない。自分を律せないのに、人に厳しくはできない。できることなら、皆に嫌われたくなかったのです」
科学技術振興機構理事長 橋本和仁氏
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