夏の甲子園へ向け、地方大会が各地で始まり、3年前、新型コロナウイルスの影響で断念した「日本一」への夢に、大学生がコーチとして挑戦している。大学で学んでいるスポーツ科学を指導に生かし、後輩たちも全幅の信頼を寄せている。(佐野真一)
横浜市港北区の慶応義塾高校のグラウンドで、投球練習する投手たちを慶応大3年、松平康稔さん(21)は真剣な表情で見守っていた。時折、スマートフォンで撮影した画像を選手に示しながら、「ここはもう少し力を抜いて」などとアドバイスする。
3年前、新型コロナの影響で甲子園の選手権大会が中止となった。高校3年生だった松平さんは神奈川県の独自大会に投手として登板はしたが、5回戦で敗退した。
慶応大に進学後、母校のコーチとなり、稲見崇孝・専任講師のゼミ「スポーツサイエンスラボ」で学んだスポーツ科学を高校野球の指導に導入した。
昨年秋、体の各部位の筋肉量を測定できる体成分分析装置を使い、全部員の体組織を詳細に測定。「バランス型」「パワー型」「スピード型」の3タイプに分類し、さらに選手ごとに回数や重さなどが異なるトレーニングメニューを作成した。
昨年秋の県大会は控えだった渡辺千之亮選手(3年)は、「スピード型」の診断で、パワーアップのための筋力トレーニングを重点的に行った。その結果、今春は3番打者に定着し、県大会決勝で2本の本塁打を放った。渡辺選手は「科学的な根拠に基づいてトレーニングの方針を決めてくれたので、頑固な自分でも納得して取り組めた」と感謝する。
春の県大会決勝で先発し、5回無失点で優勝に貢献した村上迅太投手(3年)も「データを使って指導してくれるので、自分が今どういう状態かを具体的に理解できる」と信頼を寄せる。
松平さんは大学で選手を続けるか迷ったという。しかし、「新型コロナで甲子園の目標を失ったときに学生コーチの励ましでがんばることができた。支えてくれた人たちに恩返ししたかった」と、後輩への指導という道を選んだ。
学生コーチ3年目の今、森林貴彦監督は「選手たちの兄のような存在になってくれた。本当に頼りになる」と目を細める。松平さんは「トレーニングの効果を選手たちが実感できている」と話し、甲子園出場、その先の日本一を虎視 と目指している。
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