福島県田村市常葉町の殿上山頂(810メートル)付近に15日、市が「日本で唯一の虫の楽園」とアピールする「カブトムシ自然王国ムシムシランド」の昆虫館が新装オープンする。これに先立つ14日に開業記念式が行われ、「ムシ」の語呂にちなんでカブトムシ計640匹がドーム内に放たれ、地元の子どもたちが楽しそうに触れ合った。
開業記念式には、市内の幼稚園・こども園の園児約90人が参加し、市に新設された仮想部署「昆虫課」の課長でマスコットキャラクター「カブトン」も駆け付けた。常葉幼稚園の遠藤椋矢さん(5)は「カブトムシを見るのは初めて。全部がかっこよくて楽しい」と笑顔。施設長の吉田吉徳さん(60)は「子どもたちが元気に放虫する姿を見てホッとした。施設にはいろんな標本や生態展示がある。虫好きになるきっかけになれば」と話した。
田村市の一部地域は2011年3月の東京電力福島第1原発事故で緊急時避難準備区域に指定され、同町内の県道154号沿いにあった自然観察園はいったん休業した。同年9月に指定解除を受け、除染や幼虫の放射性物質検査で安全を確認して再開にこぎつけた。
その後、施設が老朽化したため、移転・新築した。外観がカブトムシ型をした昆虫館は木造平屋建ての施設(250平方メートル)と、網屋根ハウス構造のドーム(500平方メートル)からなり、総工費は約1億円。約150種類の標本を展示し、世界最大のカブトムシで知られるヘラクレスオオカブト(体長最大18センチ)も手で触れられる。
ムシムシランドを運営する第三セクター「常葉振興公社」は、殿上山頂にある宿泊施設から望む満天の星空と組み合わせた昆虫採集ツーリズムを模索し、今夏は首都圏の子育て世帯らを対象に日帰りモニターツアーを計画中だ。耕作放棄地に生い茂るヤナギの木やぶを整備すれば、甘い樹液に誘われクワガタなどが寄り付く習性を生かすという。
吉田さんは「農家や林業家の協力を得ながら市内全域で自生地を増やしたい。(今年は民間業者から購入した)ヘラクレスも来年は卵から自力で繁殖させ、ふるさと納税の返礼品目に加えたい。その先に『昆虫の聖地』を目指した活性化への明かりが見えてくるはず」と期待を膨らませる。
問い合わせはムシムシランド(0247・77・4097)。【根本太一、松本ゆう雅】
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