山あいに棚田が広がる兵庫県香美町村岡区板仕野で、県や町が農作業を手伝う「棚田ボランティア」を募集している。同地区は「地すべり防止区域」に設定され、土砂災害を防ぐためにも棚田の管理が欠かせないが、地区の農家は高齢化しており、田植えから稲刈りまでのシーズンを通じた「助っ人」を求めている。(長谷部崇)
板仕野地区では、16軒が棚田で農業を営む。ブランド米「とろかわの恋」もこの地で栽培され、ミネラルに富んだ水や昼夜の寒暖差を利用して作る米は、都市部のファンも多い。
一方で同地区は、農林水産省が但馬地域で10カ所指定する「農地地すべり防止区域」の一つ。県豊岡土地改良センターは棚田に長さ15~20メートルの杭を打ち込んだり、ボーリングで山から地下水を抜いたりして地滑り防止の工事を進めている。
地区では、29軒71人(昨年6月時点)が暮らすが、うち40人が65歳以上で、高齢化率56・3%の限界集落。農家の高齢化も進み、棚田の中でも耕作放棄地が出てきている。
中山間地域では、水田を適切に管理することが地滑りの防止に役立つとされる。例えば田植え前に田んぼに水を張り、土をかき混ぜてならす「代かき」などは、地下水の浸透を緩やかにする効果があるという。だが手入れをする人がいなくなり、耕作放棄地が増えれば、地滑りを誘発する遠因にもなりかねない。
そこで県や町は地滑り対策のモデル事業として、シーズンを通じて稲作を手伝う「棚田ボランティア」を今年から募集する。地滑りの防止工事を「ハード対策」とするなら、耕作に携わる人を増やして棚田を守る「ソフト対策」だ。田植えやあぜの草刈り、稲刈りなどを手伝ってもらう予定で、町がボランティアと農家を橋渡しし、日時なども調整する。
岡田政和区長(69)は「技術がなくても、棚田を愛し、米作りに協力したいという人が来てくれたなら、われわれも励みになる。つながりを広げていければ」と呼び掛けている。
同センターは、板仕野地区の棚田やボランティアの活動内容を紹介する動画を制作し、ユーチューブで公開。募集要項や申込用紙は、町役場や同センターで配布するほか、町の公式サイトにも掲載予定。町農林水産課TEL0796・36・0846
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