ソウル、全南など食事は宅配で代替 福祉館、敬老堂など相次ぎ休園 「活力なくなる…家にばかりいて息が詰まる」
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散を防ぐため、全社会的な対面活動自粛ムードが広がる中、自治体が進めてきた雇用斡旋、無料給食提供などの福祉プログラムが中断し、低所得層の高齢者の憂いが深まっている。
全羅南道は26日、COVID-19に対応するため、高齢の低所得者4万6760人に提供していた雇用事業を全面的に中断した。全羅南道は、高齢者間の相互見守り、学校周辺の安全保護員、公共施設の掃除などの活動に1カ月に30時間以上参加した高齢者に対し、活動費27万ウォン(約2万4500円)を支給してきた。道は、ひとまず雇用事業を中断し、保健福祉部(福祉部)から活動費支援指針が通知されるのを待っている。全羅南道のキム・ヨンドク高齢者政策チーム長は「全羅南道は高齢者人口が22.7%を占める超高齢社会をすでに迎えている。30%が独居老人で、免疫力が弱いうえに感染しても発見が遅れる可能性があり、予防処置を強化する予定」と述べた。
道は、145カ所の敬老食堂で欠食が懸念される5195人の高齢者に提供していた無料給食も全面的に中止した。その代わり当面、弁当やのり巻き、パン類、スープ類などの手間のかからない食事を用意し、ボランティアに配達してもらうことにした。28カ所の老人福祉館は休館し、地域ごとにある9121カ所の敬老堂は、里長などが熱を測るなど、利用者の健康状態を確認することにした。
25日にはソウル市でも高齢者雇用事業の51.8%が中止されたうえ、21日からは36の老人総合福祉館、98の総合社会福祉館、3467の敬老堂が休館に入った。特に老人総合福祉館は、市中感染の危険が確実になくなるまで無期限休館することとした。この処置は、疾病管理本部が21日のブリーフィングで「ソウル鍾路区(チョンノグ)で計4人の感染者が1月28~31日に鐘路老人総合福祉館を訪問している。その感染者たちはみな同じ時間帯に福祉館内の食堂を利用していたことが確認された」と明らかにしたことによるものだ。ソウル市の関係者は「老人福祉館の食堂は閉店するが、代替となる食べ物はお届けする。配達の際に熱があるかをチェックし、手の消毒剤を支給するとともにマスク着用指導を行うなど、感染予防措置も取る」と説明した。済州道も、高齢者個別ケアサービス事業の新規申請開始日を、当初予定していた来月2日から来月9日に延期する計画だ。
COVID-19の予防のための措置ということを知らないわけではないものの、高齢者たちは寂しさを抑えきれない。全羅南道務安(ムアン)のキム・ヨンゴンさん(66)は「去年10カ月ほど働いて、経済的にとても助かったし生活に活力も得た。それが途切れると思うと目の前が真っ暗だ。COVID-19の感染を防ぐためということは知っているが、暮らしが厳しい老人に向かって外に出るな、対策もなく家にいろと言うんだから、腹が立つ」と話した。ソウルに住むヒョン・インスンさん(85)は「近所に遊びに行くように福祉館に行くのが唯一の暇つぶしだったが、それさえ行けなくなったから、家でただ座って死ぬ日ばかりを待つはめになった」と愚痴をこぼした。
アン・グァノク、ソ・ヘミ、イ・ジョンギュ、ホ・ホジュン記者
(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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