「海外市場と違って、日本は打たれ強いぞッ!」
●戦後の国際秩序は完全に崩壊?
米国市場は大荒れである。5月5日のNYダウは1063ドル(3.12%)安の3万2997ドルとなった。4日は932ドル高だったのに。ナスダック指数は647ポイント(4.99%)安の1万2317ポイントだった。ハイテク系銘柄の多いナスダック市場は腰が弱い。昨年11月22日の高値(1万6212ポイント)比の下落率は24%に達する。
完全に弱気マーケット入りだ。5月3~4日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でのFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ(0.5%)、QT(量的金融引き締め→6月開始)は事前予想通りである。資産圧縮額は6~8月が月に475億ドル、9月以降は950億ドルとされている。ナスダック指数の5%もの急落はないと思うが……。
まあ、これが相場だろう。アマゾン・ドット・コム<AMZN>の赤字転落もあった。アップル<AAPL>は好調を持続しているが、それだって売られている。投資家が脅えているのは泥沼のウクライナ情勢(戦火が近隣諸国に飛び火?)のほか、FRBの変節(市場の守り神が一転、市場の破壊者に)だろう。
しかし、この流れは変えようがない。戦後の国際秩序は崩壊した。東西冷戦構造の復活ともいえるし、違う気もする。ただ、明らかなのは国連、G20の機能不全だ。G20では9カ国がロシアへの経済制裁に参加していない。民主主義国家はG7を軸に結束する必要があろう。それがドルの基軸通貨体制を守ることになる。
もっとも、東京市場は海外市場と比較すると、相対的に強い。NYダウ、ナスダック指数の下落率に対し、小幅の下げにとどまっている。逆に、5日は高い。出遅れ感がある。それに、打たれ強くなっている。恒例の国内の年金、機関投資家など実需筋の買いが始まったとの見方ができる。
●メーンテーマはエネルギー、食糧、防衛!
この局面はインフレ耐性を有し、国際商品市況、物流費などのコストアップ要因を吸収できる銘柄にマトを絞りたいと思う。円安メリットも重要なポイントである。基本的には好業績グループだ。株価の復元力という視点では物色テーマが重要になる。人気を集めやすい。具体的にはエネルギー、食糧(農業)、防衛関連セクターだろう。
これがメーンテーマである。国際的にも通用する。もちろん、エネルギーには 脱炭素という大きな潮流、再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、核融合発電、小型原子炉、水素・アンモニアの活用)の開発、原油・天然ガスの調達、石炭の確保が含まれる。
東京電力ホールディングス <9501> [東証P]、東北電力 <9506> [東証P]は今年3月に、電力危機(大規模停電)寸前の状況になったが、環境専門家には「安定供給」の考え方が欠けているようだ。脱炭素一点張りでは困る。やはり、併行してエネルギーの確保とともに、大型蓄電池の供用、送電線網の整備、原発の再稼働が必要ではないか。
さらに、現状では穀物価格の高騰、および供給不足は避けられない。食糧危機だ。食糧増産が不可欠だろう。日本はエネルギー、食糧の自給率が極端に低い。「日本には米がある」と広言した政治家がいたが、そんな問題ではないだろう。すでに、あらゆる食品、食用油は大幅に値上がりしている。賃金の上昇は期待できないだけに、これが国民生活を直撃する。
防衛も重要なテーマだ。「国際紛争を解決する唯一の手段は戦争」と主張し、それを実践する国が出現した。加えて、国連は機能不全に陥っている。当たり前の話だが、自分の国は自分で守るしかない。ウクライナ戦争をみていると、平和主義はむなしい。2022年の国防予算は世界的に増える。ちなみに、21年の世界の軍事支出は2.1兆ドルだった。史上最高である。
具体的な銘柄としてはエネルギー、防衛に絡む三菱重工業 <7011> [東証P]、2023年3月期に史上最高決算が期待されるメイコー <6787> [東証P]、農機のやまびこ <6250> [東証P]、業績絶好調の東光高岳 <6617> [東証P]などに注目できる。メイコーは世界シェアトップの車載用基板がEV(電気自動車)向けを中心に伸びているという。
2022年5月6日 記
株探ニュース
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