第103回全国高校野球選手権大会の初戦となる2回戦で戦うはずだった宮崎商と智弁和歌山が15日、宮崎県で試合を行う。
新型コロナウイルスに対戦機会を奪われてから約9カ月。当時の両チームの主将はいま、国学院大でチームメートになり、一緒に白球を追っている。
宮崎商は昨年8月17日、2日後に予定されていた智弁和歌山との試合を辞退した。選手ら13人が新型コロナ陽性になったためで、主将だった中村碧人(あおと)(18)もそのうちの1人だった。
辞退することは、療養するために移ったホテルでネットのニュースを見て知った。
チームメートとはラインで連絡を取り合った。
負い目を感じ、「申しわけない」と送ると、「気にすんなよ」と返ってきた。
「大丈夫か」と問われ、「大丈夫」と返した。
宮崎商は昨春の選抜に出場し、1回戦で天理(奈良)に敗れた。3番・遊撃手で出場した中村は達孝太(現日本ハム)から適時三塁打を放った。
高校通算の本塁打は33。強打でチームを引っ張り、夏の甲子園に帰ってきた。
強豪の智弁和歌山との対戦が決まり、対策を練っていた。
しかし、グラウンドに立つことはかなわなかった。
「悔しかった。甲子園で試合がしたいという気持ちがあった」
そう振り返る。
隔離が終わった選手から順次、宮崎に帰った。
野球部が全員で顔を合わせたのは、夏休みが終わった後の9月5日。甲子園の話はしなかった。
中村は気持ちを切り替えていた。
「悔しさをバネに次のステージで全国大会に出ようと思えたので、立ち直れた」
大学で野球を続けることを決めていた。
智弁和歌山の主将だった宮坂厚希(あつき)(18)は、宮崎商の辞退をニュースで知った。すぐに宿舎で全体ミーティングが開かれ、中谷仁(じん)監督(43)から説明があった。
悪天候による順延が重なり試合日程が延びていた。
「早く甲子園で試合がしたいという思いが強かったので、残念だった」
宮崎商戦は不戦勝となった。
「自分たちのやるべき準備をしよう」と次の試合に向け切り替えた。
1番・中堅手として計4試合で20打数10安打、打率5割と打ちまくった。決勝の智弁学園(奈良)戦では、一回に中越え二塁打を放って4得点につなげ、21年ぶりとなる全国制覇に大きく貢献した。
2人は昨年11月、東京都内で行われた国学院大の入試で顔を合わせた。
国学院大は昨年、東都大学リーグで春夏連覇を果たした強豪。2人とも「高いレベルで勝負がしたい」と進学を希望していた。
中村はいまも遊撃手で、宮坂も外野手でレギュラーをめざしている。
中村は宮坂を「イメージ通りで、すごく真面目」と評し、宮坂は中村を「イメージと違った。オンとオフがあり、真面目なところとふざけているところもある」と言う。
宮崎商が辞退した昨夏のことを2人で話題にするようなことはなかったが、後輩たちが宮崎で対戦すると聞き、「やるらしいなあ」と言葉を交わした。
宮坂は「去年のメンバーも残っている。お互い去年の思いの分もぶつけてもらえたらいいなと思います」。中村は「自分たちらしい野球をして、頑張ってほしい」と話している。
◎
宮崎商―智弁和歌山の試合は、宮崎県高野連招待高校野球大会(ひなたサンマリン宮崎)の一環として実現した。
宮崎商の橋口光朗監督(33)は昨夏の辞退の後、智弁和歌山の中谷監督と連絡を取りあい、昨秋には「ぜひ、招待試合へ」などとお願いしていたという。(佐藤祐生)
からの記事と詳細 ( コロナに断たれた甲子園での対戦 2人の主将はチームメートになった - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/xHcRFS6
0 Comments:
Post a Comment