Tuesday, May 24, 2022

打たれ強さ発揮の「J-REIT」、経済再開に向け新たな評価余地 <株探トップ特集> | 特集 - 株探ニュース

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世界的なインフレ懸念が高まるなか、超低金利政策の追い風が続くJ-REITは底堅い値動きが続く。経済再開に伴うオフィスや商業施設、ホテルの需要回復への期待も強い。

―平均分配金利回り3%台で底堅さ演出、商業施設やホテル型に上昇余地も―

 東京市場でREIT(不動産投資信託)が底堅い動きを続けている。東証REIT指数は、日経平均株価などに比べ下落率も小さく、コロナ禍に続くウクライナ危機での乱調相場のなか、打たれ強さを発揮している。世界的なインフレ懸念のなかでも、超低金利政策が続く東京市場に上場するJ-REITの安定した収益性に対する期待は強い。経済再開(リオープン)に伴うオフィスビルや商業施設、ホテルの回復などに対する再評価期待も浮上している。

●東証REIT指数は年初から約4%安と下げ幅は限定的

 東証REIT指数は、24日終値で1970.67と昨年末時点に比べ4%強の下落。この間の日経平均株価の下落率は約7%となっており、東証REIT指数の底堅さが目立つ。東証には約60のREITが上場しているが、その平均分配金利回り(株式での配当利回りに相当)は3.7%前後と高水準。東証プライム市場の上場企業の平均配当利回り2.3%に比べ6割ほど高水準にある。REITは高い分配金が見込め、かつ投資口価格(株価に相当)も比較的安定した値動きでミドルリスク・ミドルリターンが期待できる金融商品。コロナ禍に続く今年のウクライナ危機に伴う乱調相場でも、J-REITは打たれ強さを発揮している格好だ。

●外国人買いが継続流入、超低金利政策の継続は追い風

 特に、J-REITは米国のREITに比べても堅調な値動きを続けている。スタンダード&プアーズの米国REIT指数は昨年末から16%超の下落となっている。米国を中心とするインフレ懸念の台頭は、高利回り商品のREITにとっては相対的な投資価値を減退させる要因だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は、急激な金融引き締めの姿勢を強めており、REITにとって調達金利の上昇は収益性の悪化につながる。

 その一方、日銀は先進国で唯一、超低金利政策を維持する姿勢を堅持している。この点はJ-REITの収益性の維持につながる。こうしたなか、昨年11月以降、海外投資家はJ-REITに対して買い越しを続けている。足もとの円安は海外投資家にとって、ドル建てのポートフォリオに占めるJ-REITの比率低下につながり、リバランスによる海外投資家のJ-REIT買いの要因にもなっているようだ。

 今後の日本国内でのインフレ懸念の台頭や日銀の金融政策に対する注意は必要だが、世界的なインフレ懸念のなか、J-REITの堅調さを見直す動きが出ている様子だ。更に、インフレ下で不動産価格が上昇すればREITにもプラス効果が見込めるため、インフレヘッジ効果に期待する見方もある。

●ビルファンドや野村マスター、星野Rリート、INVなど注目

 個別銘柄では、業態別に強弱観が対立しそうだが、経済再開に絡んだ期待は強い。このなか、「オフィス型」やオフィスや商業施設、住宅などに投資する「総合型」、それに「商業施設型」や「ホテル型」などが注目されている。

 主力のオフィス型では、世界的に「ウィズコロナ」に向けた経済政策が主流となりつつあるなか、オフィスへの復帰の動きが出る一方でテレワークも併用する「ハイブリッド勤務」は定着しそうだ。東京での大規模オフィスの供給増が懸念される「2023年問題」も警戒される。ただ不透明要因を抱えながらも、全体的には今後はオフィス復帰に向けたプラスの影響が表面化することが期待されている。オフィス型最大手の日本ビルファンド投資法人 <8951> [東証R]の分配金利回り3.5%は中長期的に魅力的な水準。ジャパンリアルエステイト投資法人 <8952> [東証R]のほか、大和証券オフィス投資法人 <8976> [東証R]なども注目されている。

 また、総合型では商業施設やホテルなどの回復が期待される。オリックス不動産投資法人 <8954> [東証R]や野村不動産マスターファンド投資法人 <3462> [東証R]などが注目されている。分配金利回りはいずれも4%前後の水準にある。商業施設型のフロンティア不動産投資法人 <8964> [東証R]の同利回りは4.3%前後。更に、コロナ禍の影響を大きく受けたホテル型では、星野リゾート・リート投資法人 <3287> [東証R]のほか、インヴィンシブル投資法人 <8963> [東証R]やジャパン・ホテル・リート投資法人 <8985> [東証R]などの動向も関心を集めている。

●インフラファンドも脚光浴びる

 加えて、太陽光発電施設などに投資するインフラファンドも脚光を浴びている。ウクライナ危機を背景にした原油価格などの上昇で、太陽光発電など再生可能エネルギーの一段の導入推進の意欲が高まっている。東証には、インフラファンドが7銘柄(日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 <9283> [東証IF]は監理銘柄)が上場しているが、タカラレーベン・インフラ投資法人 <9281> [東証IF]やいちごグリーンインフラ投資法人 <9282> [東証IF]などの分配金利回りは5~6%台と高水準にあり注目されている。

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