◇渋谷真コラム・龍の背に乗って ◇9日 ロッテ2―0中日(ZOZOマリン)
元ドラゴンズのエンニー・ロメロ。しかし「あのロメロ」ではなかった。来日最長の8イニングで101球。うち変化球が38球もあった。僕が知っているロメロは、24球連続でストレートを投げた。捕手のサインに首を振ったら必ずストレート。それを狙い打たれ、本塁打になった瞬間、グラブを地面にたたきつけた。捕手の配球もベンチの説得も受け付けず「いい球を投げるのに」契約延長をふいにした。
あれから3年。ロメロはスライダーとチェンジアップを織り交ぜ、自慢のストレートをより速く見せる術を覚えていた。
「一番うれしかったのは、日本で初めて8回まで投げられたこと。球数少なく、ストライクゾーンでどんどん攻められたのが良かったと思う」
チームは高卒ルーキーの松川を軸に戦っているが、ロメロに関しては10試合、59イニング全てを佐藤都と組ませている。走者がいないとご機嫌で投げるが、出るとサインに嫌々をするシーンは何度かあった。そんな時は、うなずいた直後にけん制球をはさんでいた。恐らくは佐藤都のサイン。「落ち着け」「頭を冷やせ」の意味を込めていたはずだ。それでも首を振るロメロには、佐藤都も首を振り返す。「オレを信じろ」と言わんばかりに、胸をどんどんたたいていた。
往年の名投手から聞いたことがある。捕手が主導権を握ってこその「リード」だと。投手に任せると失点は必ず増えるとも。「だって、投げたい球投げてるだけなんだから。捕手は違う。抑えられると思った球を要求する。オレが言ってるんだから間違いない」。昨季途中から加入したロッテで、誰がどう説き伏せたのかはわからないが、ロメロは配球を受け入れていた。
7回まではストレート45球に対して変化球は37球だった。たまっていた鬱憤(うっぷん)を解き放つように、8回は一転して19球中18球がストレート。しかし、そこまでの変化球が残像となり、効いていた。その打席だけでなく、1試合を通じた配球。細くつながっていた勝利への糸は、ここでプツリと切られた。
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