◆第105回全国高校野球選手権2回戦 宮崎学園7―9文星芸大付(11日、甲子園)
甲子園のグラウンドから見ると、三塁側ベンチの左端。ダッグアウトに降りていく階段のところから、宮崎学園の2年生左腕・河野の投球を見守り続けた崎田監督は、継投を「考えてなかったです」。ヒットを15本打たれ、味方の失策も絡んでの9失点でも、最後の最後まで、投手交代に動くことはなかった。
「地方大会も、ほぼ河野が一人で投げてきて勝ち上がったし、スタミナもついてきました。河野がもうちょっと、踏ん張ってくれるかなと思っていたんですが、甲子園の独特の雰囲気で、思うようなボールがいかなかったんじゃないかなと」
1メートル89の長身左腕。その角度十分のストレートで、宮崎県大会の5試合で42回を投げ7失点。県大会決勝でも、タイブレークに突入後の10回も投げ切って、12奪三振の完封劇。ウエートトレーニングにはまだ本格的に取り組んでおらず、ひょろりとした感は否めないだけに、ここから体に力がつけば、と思わせる魅力は十分で「将来性はある子だと思う」と指揮官も認める好素材だ。
上々の立ち上がりを見せた序盤3イニングは1安打無失点と「ストレートでキャッチャーが構えているところに投げ切れたのがよかった」と河野。しかし、ここから〝全国レベルの怖さ〟が襲いかかってくる。4回、3本の長単打で文星芸大付に2点の先制を許すと、崎田監督から「配球を変え、球種を増やしなさい」という指示。そこから「スライダーを多めに使い出して、インコースの真っすぐを投げた」と河野は振り返ったが「それもすぐに打たれて…。とてもキツかったです」。
最大4点のリードをもらいながらも、7回には2点差に迫られ、8回無死一、三塁から9番工藤に右前へ運ばれ、さらに右翼川越が後逸。打者走者まで生還を許して逆転されてしまい「打たれたのは自分」。河野は相手の勢いを止め切れず、9回164球を投げながら、勝利につなげられなかったなかった自分の投球をひたすら責めた。
ただ2003年の創部以来、春夏通して初の甲子園。その〝初黒星〟からも、得るものは実に大きい。河野自身がつかんだ〝甲子園からの教訓〟は「負けているときでもチームを盛り上げられるようなエースになる」。そのために「球速を最後まで維持したいし、変化球を増やして、相手に張られても打たれないようなピッチングができるようになりたい。どの場面で、どう打ち取るのかをもっと知りたいし、体の使い方も学びたい」と気づいた課題も多々だ。
「相手も強かった。強いチームに通用するピッチングができればいいなと思います。そしてまた甲子園で投げて、次は優勝したい」。リベンジと新たな夢をかけ、河野はもう〝再スタート〟を切っている。
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