新しい一歩を踏み出したARIA世代の起業家に話を聞くこの連載。今回は、千葉大学工学部初のベンチャーとしてBB STONE(ストーン)デザイン心理学研究所を立ち上げた日比野好恵さん。人間の直感、潜在意識をリサーチし、科学的データに基づいて提案する「デザイン心理学」という新たな手法を使ってコンサルティング事業を展開しています。「雷に打たれたように」起業を決意したという日比野さん。その強い思いと、起業のきっかけとなった出来事とは?
(上)日本橋で見た光景「雷に打たれたように」起業を決めた ←今回はココ
(下)勉強がはかどる「ほぼ日ノオト」6年越し実った思いに涙
駅の階段で立ち止まっていた高齢男性の姿
編集部(以下、略) BB STONEデザイン心理学研究所は、デザイン心理学に基づいて人間の感性や深層心理を深掘りし、デザインで課題を解決するコンサルティングサービスを行っています。会社を設立するきっかけとなったのはどんなことでしたか。
日比野好恵さん(以下、日比野) 十数年前のことですが、仕事帰りに日本橋駅で降りたら、階段の真ん中で大きな荷物を抱えて立ち止まっている高齢の男性がいました。周りは、その人を避けるように流れていくだけで。九州生まれの私は黙っていられなくて、声をかけて出口まで案内したんです。
家に帰って東京育ちの夫に「東京の人は冷たいばい。お年寄りが困ってるのに」と訴えたんですね。そうすると夫は冷静に、「それ、人の冷たさもあるけれども、駅の案内表示が見づらいのも原因だよね」、と。自分はそのような問題を解決する研究をしているんだと話しました。それが、デザイン心理学との出合いです。
結婚して20年近くたっていましたが、夫の研究内容を詳しく聞いたのは初めてでした。デザイン心理学を使えば、利用者の立場で見やすいデザインを提案することができる。ならば、それを広めたい。その日の夜に、起業しようと決めました。本当に雷に打たれたみたいに。
―― 日比野さんは当時、どんな仕事をしていたのでしょう。
日比野 私立大学のキャリア教育センターで課長職に就いていました。その前は外資系化粧品メーカーでスタッフを育成するトレーナー業務をしていて。キャリア教育に関わる仕事はやりがいもありましたし、サラリーマンで十分満足していました。まさか自分が起業するなんて。周りもみんな反対でした。
そのとき、どういう会社にすればいいのかと、ノートにいろいろ走り書きしました。今、見返すと、「社会に必要とされる会社にする」「自分のポリシーやスタイルに妥協しない」「不安や恐怖を受け入れつつ新しいチャレンジができる体制を築く」などと書いてあって、その思いは今も変わらないですね。
―― 夫である千葉大教授の日比野治雄さんが専門とするデザイン心理学は、新しいジャンルの研究だったのでしょうか。
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